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建築設備士資格試験

建築設備士【第二次試験~必須問題編~】を独学で合格する方法

建築設備士

こんにちは、設備の南です。

この記事では、建築設備士を独学且つなるべくお金をかけずに取得するための勉強方法について自身の経験を基に紹介します。

今回は第二次試験のうち、必須問題(建築設備基本計画)の勉強方法について紹介します。

選択問題(建築設備基本設計製図)の勉強方法こちらの記事で紹介しています。

第二次試験の概要

勉強方法の紹介の前に、第二次試験の概要についてお話します。

第二次試験の課題(どういった建物か)は、例年5月中頃に発表されます。

第二次試験の出題形式は記述及び製図で

  • 必須問題(建築設備基本計画)
    全11問の記述問題
  • 選択問題(建築設備基本設計製図)
    全5問の製図問題
    空調・換気設備、給排水衛生設備又は電気設備から選択

の試験を制限時間5時間30分で実施します。

5時間30分は長いと思えますが、実際に試験をすると非常に短く感じます。

そのため、全問解くためには時間との勝負になります。

選択問題の全5問は以下の内容となっています。

  • 選択した設備に関する計算問題と製図問題が各々1問の計2問
  • 空調・換気設備、給排水衛生設備及び電気設備の製図問題が各々1問の計3問

合格基準は、A評価、B評価、C評価、D評価の4段階評価で、A評価のみ合格となります。

A評価の割合は、例年50%程となっています。

評価基準は、非公表のため不明となっています。

ネット上では間違っても全問必ず書かなければならないなどいろいろな意見があります。

私も明らかに微妙な解答と思う問題もありましたが、とりあえず全問記入しました。

第二次試験の勉強方法 ~共通事項~

第二次試験の勉強方法について、必須問題及び選択問題に共通することを紹介します。

第二次試験の勉強にあたり真っ先に、「第二次試験受験準備講習会(以下、二次試験講習)」の申込を速やかに行い、一日でも早く二次試験講習で配布されるテキストを入手してください。

これは、二次試験講習のテキストを拠り所として勉強していく必要があるためです。

二次試験講習の予約は人数に限りがあり先着順です。

第一次試験終了後すぐに自己採点を行い、点数が合格基準を超えているかを素早く確認し、できる限り早い日程で予約をする必要があります。

自己採点を早く正確に行いたい場合、資格学校の採点サービスを利用する方法もあります。(利用後、勧誘の電話やメールが来ます)

通勤の電車の中で勉強される方は、入手したテキストを第一次試験の勉強方法で紹介した過去問題集のように裁断されることをおすすめします。

注意点ですが、テキストに記載されている解答例は、内容が統一されておらず、誤りもちょくちょくあります。

当たり前かもしれませんが、テキストは解答の参考(どの程度のレベルの解答でよいのかなど)として使い、

  • 記述問題は解答文章を自分の言葉で表現できる
  • 製図問題は各設備の役割や設備全体の基本構成を理解する

を意識して勉強することが重要です。

第二次試験(必須問題)の勉強方法

第二次試験の必須問題の勉強方法について紹介します。

私が実践した勉強の流れは以下のとおりです。

  1. テキスト読み込み
    二次試験講習のテキストを一通り読み込み、問題の傾向を把握、解答例がどのような内容なのかを確認
  2. 書き出し
    テキストで確認内容を参考に各設備の基本事項・関係法令、設計計画における要点・注意点を確認、整理しルーズリーフなどに書き出す
  3. 2で作成したルーズリーフなどを用いて勉強
    第一次試験の過去問題集と同じ要領で勉強

それぞれの詳細について説明します。

1.テキスト読み込み

まずは第二次試験がどういうものか、発表された課題の建物はどういう建物かの予想を知るために二次試験講習のテキストを一通り読むことをおすすめします。

テキストの読み込みの際は確認内容や所感をメモで残しておくことをおすすめします。

これは、次のステップ「2.書き出し」の際にメモがあると効率がよいからです。

テキストには、「各設備の計画に関する基本事項と予想問題及びその解答」、「過去の問題解答例(私の時は4年分)」及び「過去の出題一覧表(私の時は15年分)」が載っています。

「各設備の計画に関する基本事項と予想問題及びその解答」では、

  • どの程度の解答が求められるのか
  • 課題の建物で想定される設備は何か
  • 想定される設備の計画・設計におけるチェックポイントは何か
  • テキストに記載はないが課題の建物に関係ある設備はないか

を確認します。

「過去の問題解答例」についても同様です。

「過去の出題一覧表(私の時は15年分)」では、

  • 課題の建物と同じ種類の建物が過去にあったか。ある場合はどのような問題が出題されたか。
  • 近年の出題傾向
  • 出題の規則性(参考程度)

を確認します。

ちなみに出題傾向や規則性については、こちらのブログを参考にしていました。

出題傾向や規則性以外もいろいろと参考になりますので、ご確認いただければと思います。

令和3年度課題「市街地に建つホテル」の際に、テキスト読み込みで実際に私が残していたメモの内容は以下のとおりです。

かなり適当に書いていますが、どこがポイントとなるのか自分自身がわかればいいと思います。

空調
・各部屋(浴室等)の空調・換気設備の構成機器の要点(吹出、吸込、外気取入ガラリ、外気排出ガラリ、ダクト)
・空調の省エネ方法
・機械排煙設備
・BCP対策
衛生
・浴槽のろ過設備、給排水設備
・スプリンクラー設備
・屋内消火
・給湯設備の省エネ、中央式給湯設備、貯湯槽
・プールのろ過
・スプリンクラー(系統図)
・給湯(系統図)←貯湯槽配管要領
・太陽熱、雨水利用(ZEB)
電気
・照明設備
・誘導灯
・自火報
・非常用照明
・避雷設備
・コージェネ
・非常用発電

2.書き出し

テキスト読み込みでポイントとなる設備や計画・設計の項目を抽出した後は、それらに対して調査、確認、整理をして書き出しを行います。

この書き出し作業は、第二次試験の必須問題の勉強にあたり非常に重要だと考えています。

私の話になりますが、第二次試験に合格した令和3年度の勉強の際、当初は書き出しを行わずテキストのみで勉強をしていました。

しかしながら、テキストでの学習は

  • 同じ内容が繰り返し出てくる
  • 同じ内容(問題)に対して解答が統一されていない(文言が異なる)
  • 確認したい問題を探しにくい

ということがあり、非常に効率が悪いと気づきました。

そこで、この書き出し作業を行い、ルーズリーフにまとめました。

まとめた後は、テキストではなくルーズリーフを携帯し、通勤中に勉強をしていました。

もし、テキストに対して同じようなことを感じましたら、書き出し作業を試してみてください。

では、実際の私の書き出し内容を参考にどのように書き出しを行ったかを解説します。

なお、実際に書き出した内容は、量が多いため本記事では部分的に紹介します。

例1.テキスト記載内容を整理して書き出し

テキスト記載の内容を整理して書き出しをします。実際の書き出していた内容の一部は以下のとおりです。

空調の省エネ方法と内容
(1)変風量制御
負荷(ガラス窓からの熱負荷、人員による熱負荷)の変動に応じて、ファン又はポンプの出入り口温度差は一定のままインバーターで風量や流量を変化させることでファン・ポンプの搬送動力を削減する。
(2)大温度差送水(FCUなど冷水を使用するもの)
空調の冷水出入口温度差を大きく取り、流量を減らすことでポンプの搬送動力を削減する。…など

例2.ガイドブックや設計指針を確認・整理して書き出し

テキストの内容に記載ある内容の深堀りするため、メーカー、学会、行政などの設計指針等を確認して、基本事項と計画・設計の要点を書き出しします。

令和3年度課題「市街地に建つホテル」では厨房に関係する問題を想定したため、東京ガス「最適厨房研究会」の最適な厨房設計のためのガイドブックを確認し、要点抽出・書き出しをしました。

実際の書き出し内容の一部は以下のとおりです。

厨房換気設計時の留意点
・空調、給気等の吹出しは厨房機器に直接当たらない位置に設ける
・空調、給気等はできるだけゆっくりと吹出す。
※上記2つは調理機器付近に空気の乱れを発生させない配慮
・洗浄室は温水槽や食器洗浄機、洗浄後食器から蒸気が発生するため、適正な位置に天井排気口を設ける(結露対策)…など

ZEBやBCPについてはネットで検索し、行政や法人などのサイトで基本事項や事例について調査、整理して書き出ししました。

ZEBについては、環境省「ZEB PORTAL」一般社団法人siiのサイトが参考になります。

ホテルのZEBとBCPの事例紹介されているサイトで事例を調べていたと記憶しているのですが、見つかりませんでした。見つかり次第更新します。

ZEBに関する書き出し内容の一部は以下のとおりです。
(テキスト記載内容と重複がほとんどです)

ホテルでのZEB方針
一般的にホテルでは空調及び照明に起因する一次エネルギー消費量が大半を占める。また、給湯に起因するエネルギー消費量も大きい。
この特徴より
・空調
外皮性能の向上(高性能断熱材、日射遮蔽型窓など)
空調熱源、冷却塔の高効率化(高効率熱源機器、台数制御、インバータ制御など)
空調機の効率化、制御の高度化(善悦交換機、変風量制御、高効率空調機)…など

そのほか国土交通省の技術基準にある標準仕様書標準図や東京都の地下排水槽設計の手引きなど行政の標準仕様書など参考にしました。

参考にして書き出した内容の一部は以下のとおりです。

排水槽の計画
・排水槽の底部は、釜場に向かって1/10~1/15の勾配を設ける
・排水槽の点検が行え、清掃も行えるよう、マンホールとタラップ(腐植で落下する危険性があるため槽内はNG、槽外に)を設ける
・排水槽には通気管を設置し、ほかの排水系統の通気管と接続せず、単独で大気中に開口する。なお、通気管の口径は50mm以上とする
・釜場の隅角部汚物が滞留しないよう斜面処理とする排水管
・勾配1/50~1/200を設ける
・厨房排水の排水管は、ほかの排水管に接続せず単独で建物外まで排水する
・3階以上にわたる排水立管には、各階に満水試験接手を取り付ける…など

上記以外にもメーカーのサイトやカタログの技術資料も参考になりますので、調べたい設備を取り扱っているメーカーのサイトの確認もおすすめします。

例3.参考書の内容を書き出し

別の記事でも紹介した下記の参考書を使い、設計の要点を書き出します。

特に消防設備について網羅している「消防設備アタック講座 上下巻」には非常に助けられました。

初学者の建築講座 建築設備(第五版) [ 大塚雅之 ]

価格:3300円
(2024/11/15 13:00時点)
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消防設備アタック講座(上)6訂版 消防設備がマスターできる! [ 高木任之 ]

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感想(0件)

消防設備アタック講座(下)6訂版 消防設備がマスターできる! [ 高木任之 ]

価格:3685円
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感想(0件)

参考にして書き出した内容の一部は以下のとおりです。

スプリンクラー設備
・小区画型ヘッド(放水圧力0.1MPa以上、放水量50L/min以上)
有効散水半径2.6m と 床面から天井面下0.5mまでの壁面の部分に散水
ホテルの宿泊室に限って使用可能
一つのヘッドで防護される部分の面積は13平米を限度とする。13平米を超える場合、2個以上のヘッド設置が必要。
なお、2個以上の場合は、相互感覚が3m以下とならないように設置する。
湿式のみ可能
デフレクターから下方0.45m以内且つ水平方法の壁面までの範囲は何も設けたり置いてはいけない

・側壁型ヘッド

…など

3.書き出した資料で勉強

ルーズリーフなどに書き出したあとは、第一次試験の過去問題集と同じ要領で勉強していきます。

勉強中に追加が必要と思う設備や計画・設計の要点などが出てきた場合は、随時追加していきます。

最後に

この記事では第二次試験の必須問題の勉強方法を紹介しました。

紹介した方法は、令和2年度に改正された第二次試験(令和2年度受験)を一度不合格になった私が、2回目の第二次試験(令和3年度受験)の勉強にあたり実践した方法です。

大切なのは

  • 計画・設計について自分の言葉で書く
  • 解答の根拠を理解する
  • 講習会テキストに記述されている以外のことも準備しておく

だと思います。

次は第二次試験の選択問題の勉強方法についてこちらの記事で紹介します。

建築設備士【第二次試験~選択問題編~】を独学で合格する方法


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