こんにちは、設備の南です。
この記事では換気設備の種類について解説します。
換気設備による換気量の計算方法については別記事で解説予定です。
換気設備の種類
換気設備は、室外から新鮮な空気を導入し、室内の汚れた空気を室外へ排出することで、室内の空気質を改善することを目的とした設備です。
換気設備は非常に大切な設備であり、法律によりその基準が定められています。
住宅においては、建築基準法第28条にて窓等の換気に有効な開口部が居室の床面積の1/20以上であることが求められています。
上記を満足しない住宅とその他建築物においては、換気設備を設けることとなっています。
建築基準法で定められている換気設備は以下の4種類です。
- 自然換気方式
- 機械換気方式
第一種換気方式
第二種換気方式
第三種換気方式
それぞれについて解説していきます。
自然換気方式
自然換気方式と聞くと窓を開けての換気をイメージされるかもしれませんが、窓からの換気は自然換気方式には含まれません。
自然換気方式の換気設備は建築基準法施行令第20条の2の1のイ及び第129条の2の5により以下の構造であることと定められています。
イ 自然換気設備にあつては、第百二十九条の二の五第一項の規定によるほか、次に掲げる構造とすること。
(1) 排気筒の有効断面積(平方メートルで表した面積とする。)が、次の式によつて計算した必要有効断面積以上であること。
Av=Af/(250√h)
(この式において、Av、Af及びhは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Av 必要有効断面積(単位 平方メートル)
Af 居室の床面積(当該居室が換気上有効な窓その他の開口部を有する場合においては、当該開口部の換気上有効な面積に二十を乗じて得た面積を当該居室の床面積から減じた面積)(単位 平方メートル)
h 給気口の中心から排気筒の頂部の外気に開放された部分の中心までの高さ(単位 メートル))
(2) 給気口及び排気口の有効開口面積(平方メートルで表した面積とする。)が、(1)の式によつて計算した必要有効断面積以上であること。
(3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、衛生上有効な換気を確保することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものであること。
引用元:建築基準法施行令
(換気設備)
第百二十九条の二の五 建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く。以下この条において同じ。)に設ける自然換気設備は、次に定める構造としなければならない。
一 換気上有効な給気口及び排気筒を有すること。
二 給気口は、居室の天井の高さの二分の一以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造とすること。
三 排気口(排気筒の居室に面する開口部をいう。以下この項において同じ。)は、給気口より高い位置に設け、常時開放された構造とし、かつ、排気筒の立上り部分に直結すること。
四 排気筒は、排気上有効な立上り部分を有し、その頂部は、外気の流れによつて排気が妨げられない構造とし、かつ、直接外気に開放すること。
五 排気筒には、その頂部及び排気口を除き、開口部を設けないこと。
六 給気口及び排気口並びに排気筒の頂部には、雨水の浸入又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものの侵入を防ぐための設備を設けること。
引用元:建築基準法施行令
構造の概要図は下図のとおりです。
換気扇などの機械は一切使用せず、室内外の気温差と風により給気口から外気を導入し、排気口から室内の空気を排気します。
機械換気方式
機械換気方式は、換気に送風機などの機械を使います。
給気と排気のどこに機械を用いるかで3種類の方式があります。
それぞれについて解説します。
第一種換気方式
第一種換気方式は、給気と排気のどちらも機械を用いて行う方式です。
給気と排気が機械でコントロール可能なため、効果的な換気を行うことが出来ます。
給気と排気のバランス設定により、室内は正圧又は負圧になります。
構造の概要図は以下のとおりです。
全熱交換器を使った換気もこの第一種換気方式となります。
全熱交換器とは、室内排気と室外給気の全熱交換を行い、給排気による熱損失を抑えることができる省エネルギー性のある換気装置です。
概要図は以下のとおりです。
第二種換気方式
第二種換気方式は、給気のみ機械を用い、排気は排気口からの自然換気で行う方式です。
機械で外気が供給されるため、室内は正圧状態となります。
汚染空気などを室内に侵入させたくないクリーンルームや燃焼用空気が必要な機械室の換気に適する方法です。
構造の概要図は以下のとおりです。
第三種換気方式
第三種換気方式は、給気は給気口からの自然換気で行い、排気のみ機械を用いる方式です。
機械で排気されるため、室内は負圧状態となります。
室内の汚染空気や臭気を他の場所に拡散させたくないトイレ、浴室、厨房などの換気に適する方法です。
構造の概要図は以下のとおりです。
最後に
この記事では換気設備の種類について解説しました。
新型コロナウイルス感染症が大流行して以降、換気の重要性が広く認知されてきているかと思います。
最近の気密性が高い建物では十分な換気が確保されない場合、感染症の危険だけではなく、室内の二酸化炭素濃度や粉じん濃度、臭気などが上昇することで、不快感や健康への悪影響が生じます。
換気設備はあまり目立たない設備ではありますが、勤務先などの換気設備を探してみると場所によって今回解説した4種類がどのように使い分けられているか、設計者の考えが見えてくるかもしれません。