こんにちは、設備の南です。
この記事では異種金属腐食について解説します。
異種金属腐食とは
異種金属腐食は、金属腐食の一種で、以下の条件が揃った場合に生じる腐食現象です。
- 異なる金属が接触状態にある
- 金属が水溶液と接触状態にある
なぜ上記の条件が揃うと異種金属腐食が生じるのか解説します。
異種金属腐食の原因
異種金属腐食の原因は、異なる金属間で電子の移動が生じるためです。
電子の移動には、「電位差」と電子が通る「経路」が必要となります。
「電位差」と「経路」が生じる条件が、それぞれ条件1「異なる金属が接触状態にある」と条件2「金属が水溶液と接触状態にある」です。
「異なる金属が接触状態にある」とは、電位が高い金属を「貴」、電位が低い金属を「卑」と呼ばれる金属が接触している状態です。
この接触状態で「金属が水溶液と接触状態にある」と水溶液が「経路」となり、金属の電位差により「卑」の金属から「貴」の金属へ電子の移動が生じます。
この電子の移動により「卑」の金属は電子が奪われ、腐食していきます。
なお、異種金属腐食が生じる状況下で「空気」と接触している場合、酸化による腐食も加わるため「卑」の金属の腐食が更に加速します。
これは、「貴」の金属の酸化による腐食進行は「卑」の金属から電子を奪うことで抑えられるが、「卑」の金属は更に電子を奪われるためです。
この性質を防食に利用したのが、「電気防食」や「犠牲陽極」です。
異種金属腐食を防ぐには
異種金属腐食を防ぐ方法は、上記の条件を満足しない状況を作ることです。
それぞれについて以下に解説します。
条件1「異なる金属士が接触状態にある」を満足しない状況とは
条件1を満足しない状況は以下のとおりです。
- 同じ金属又は電位差が小さい金属を用いる
「経路」があっても腐食が無視できるレベルにまで電子の移動を極めて小さくするために電位差をなくす又は小さくする - 金属を接触させない
金属間に絶縁材を挟むなどして電気的に接触させない
条件2「金属が水溶液と接触状態にある」を満足しない状況とは
条件2を満足しない状況は以下のとおりです。
- 金属を外部環境と接触させない
金属を塗装、めっき、ライニングなどで覆い外部環境と接触させないことで「経路」と金属を遮断する
まとめ
異種金属腐食について解説しました。
配管や構造物の取付など、異なる金属を接合させる場合は多くありますが、設計、施工する上で注意すべき項目の一つが異種金属腐食です。
「電位差」と「経路」が生じる条件となる、条件1「異なる金属が接触状態にある」と条件2「金属が水溶液と接触状態にある」に注意することが異種金属腐食を防ぐためには重要です。