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建築設備空調換気設備

空調設備の概要について解説

建築設備

こんにちは、設備の南です。

この記事では空調設備の概要について解説します。

空調設備とは

空調設備は、空気調和設備の略で、快適な空気環境を作り出すための設備です。
近年、「WELLNESS(快適)」「ZEH、ZEB(省エネ)」などが注目される中で空調設備が果たす役割が大きくなってきています。
以下に空調設備の基本として、目的、構成と種類、関係法令概要について解説します。

空調設備の目的

空調設備は、「空気調和の4要素」である

  • 温度
  • 湿度
  • 清浄度
  • 気流分布

をコントロールすることで快適な空気環境を作り出すことを目的とした設備です。

空調設備は、空気調和の目的対象により大きく2種類に分類されます。

  • 保健用空気調和(一般空調や快適空調)
    人間の快適さと健康の維持を目的
    として住宅、事務所、病院、商業施設などに設置
  • 産業用空気調和(工場空調)
    製造品や貯蔵品の品質管理などを目的
    として工場、電算室、倉庫などに設置

空調設備の構成と種類

空調設備は、「空気調和の4要素」をコントロールするために、様々な種類の設備で構成されています。
代表的な設備は、以下のとおりです。

  1. 熱源設備
    室内を冷却(冷房)、加熱(暖房)する際に必要となる冷媒、冷温水などを作る設備
  2. 空気調和機
    室内に送る空気の温度、湿度、清浄度を調節する設備
  3. 熱搬送設備
    冷温水や空調空気を送る設備
  4. 自動制御設備
    室内空気環境や各空調設備の状態を監視、記録し、自動制御や遠隔操作などを行う設備
  5. 室内設備
    室内へ空調空気を供給する設備
    室内空気を冷却、加熱、除湿、加湿する設備
  6. 換気設備
    室内の給気、排気を行う設備

構成のイメージ図は上図のとおりです。こちらのイメージ図では暖房時の動きになります。

大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 室内のリモコン(自動制御設備)をONにする
  2. ONの指示と合わせて各種センサー(自動制御設備)の現在値を基に各設備へ信号発信
  3. 熱源設備は温水を加熱
  4. ポンプ(熱搬送設備)は温水を循環
  5. 空気調和機は循環温水を用いて外気と還気を指定の温度になるよう温め室内に送る空気を作る
  6. 送風機(熱搬送設備)を用いてダクトを通して空気を室内へ送る
  7. 吹出口(換気設備)から空気を室内へ供給する
  8. 吸込口(換気設備)から室内空気を吸い込む
  9. 吸い込んだ空気は還気用送風機(熱搬送設備)又は排気用送風機(換気設備)で空気調和機へ還気又は外へ排気される
    ※還気量又は排気量は、室内の二酸化炭素濃度などを計測(自動制御設備)し調整される
  10. 以下、設定温度や二酸化炭素濃度など室内空気環境を監視し、維持できるよう各設備が稼働する

各設備の概要について以下に解説します。

熱源設備

空気調和を行うためには、まず空気の冷却又は加熱を行うための熱源が必要となります。
その熱源を作る設備が、熱源設備です。

身近なところでは、家庭用エアコンの室外機がそれにあたります。
家庭用エアコンでは、冷媒と呼ばれる熱媒体が一般的に使用されています。
室外機は冷媒をコントロールすることで、室内を冷却又は加熱するための熱源を作り出しています。

商用施設や工場などの施設では、より大きな熱源が必要となるため、熱源設備としてボイラや冷凍機などを設置しています。
これらの設備では熱媒体として、冷媒だけではなく、冷水、温水、蒸気も使用します。

都市部では、地域冷暖房システムを採用している施設もあります。
地域冷暖房システムとは、熱源を作り出す熱源プラントが設置された施設から地域内にある施設へ冷水、温水、蒸気を供給するシステムで、省エネルギー効果などを目的としています。

空気調和機

空気調和機は、室内へ送る空気の温度、湿度、清浄度を調節する設備です。
具体的な設備例として、エアハンドリングユニット(冷温水式、加湿機能付き)で解説します。

エアハンドリングユニットの基本構成と役割は、以下のとおりです。

  • エアフィルタ
    清浄度調節:ファン(熱源搬送設備や換気設備に該当)で取り込んだ空気の汚れを取る
  • 空気冷却器
    温度調節:熱源設備が作った冷水で取り込んだ空気を冷却する
  • 空気加熱器
    温度調節:熱源設備が作った温水で取り込んだ空気を加熱する
  • 加湿器
    湿度調節:取り込んだ空気を水で加湿する

上記のとおり空気調和の4要素のうち、3要素が決まるため非常に大切な設備です。

熱搬送設備

熱搬送設備は、

  • 空気調和機で調節された空気
  • 熱源設備で作った冷温水(室内ユニットのファンコイルユニットで使用)

室内送るための設備で、

空気を送る場合:送風機とダクト(空気の通り道)
冷温水を送る場合:ポンプと配管

で構成されています。

自動制御設備

自動制御設備は、各設備の監視・遠方操作を行うための設備で

  • 検出器
    温度、湿度、圧力、流量などを検出する機器
  • 調整器
    検出器の検出値と目標値を比較し調整量を決定する機器
  • 操作器
    調整器からの信号を受けて調整量にあった流量、風量などを操作する機器

などで構成されています。

大きな施設では、省エネ化のために室内環境とエネルギー管理の最適化を目的としたビル管理システム(通称BEMS)により設備全体の運転、監視、記録、自動制御を行っています。

自動制御に対して手動制御は、人間が温度などの状況を確認し、調整量を決め、バルブなどを操作する制御です。

室内設備

主な室内設備は、以下のとおりです。

  • 吹出口
    空調空気や外気を室内へ供給するための吹き出し口
  • 吸込口
    室内空気を空気調和機又は外気へ排出するための吸込み口
  • ファンコイルユニット
    冷温水を利用して室内空気を冷却・加熱する装置
  • 加湿器
    室内の空気を加湿するための装置

室内の空気環境を快適に保つためには、適切な室内設備の選定と配置が重要となります。

換気設備

換気設備は、新鮮な外気の供給と汚れた空気の排除を行い、室内空気環境を改善することを目的とした設備です。
換気が正しく行われない場合、居住者の呼吸や機器の燃焼によるCO2濃度の増加だけではなく、臭気や有害ガス濃度が高まり、不快になるだけではなく健康被害発生の原因にもなります。

換気方法は、以下の2種類に大別されます。

  • 自然換気方式
    温度差や外部の風を利用した換気方法
  • 機械換気方式
    送風機を用いた換気方法

機械換気方法は更に以下の3方式に分けられます。

  • 第1種換気方式
    給気及び排気ともに送風機を用いて行う方式
  • 第2種換気方式
    給気のみ送風機を用いて行う方式
  • 第3種換気方式
    排気のみ送風機を用いて行う方式

関係法令概要

空調設備に関係する主な法令は以下のとおりです。

  • 建築基準法
    建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低基準を定めた法律
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)
    建築物の維持管理にあたり環境衛生上の必要事項を定めた法律
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)
    一定規模以上の事業者に対するエネルギー使用状況等の定期報告、省エネ取組の見直しや計画の策定等を定めた法律
  • フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
    地球温暖化に深刻な影響を与えるフロン類の排出を抑制するための法律

建築物衛生法、省エネ法及びフロン排出抑制法は、空調設備の維持管理に関わる重要な法律となります。

最後に

この記事では空調設備の概要について解説しました。

今後は、各パートの詳細な部分についても解説していきたいと考えています。

お時間ありましたら読んでいただけたら幸いです。


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