こんにちは、設備の南です。
この記事では消防設備の概要について解説します。
消防設備の設置や維持管理の詳細は、別途解説記事を作成予定です。
消防設備とは
消防設備の正式な名称は、消防法第17条第一項にて「消防用設備等」と定められています。
第十七条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備等」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
引用元:消防法
火災が発生した際に、「火災による被害を最小限に抑えるための消火機能」、「人的被害を軽減するための避難機能」、「消防隊の消火活動に必要な機能」を有した設備等が必要であり、基準に従い、設置及び維持管理しなければならない、となっています。
そして、この「消防用設備等」は、消防法施行令第7条にて以下の3種類に分けられます。
- 消防の用に供する設備
消火設備:水その他消火剤を使用して消火を行う機械器具又は設備
警報設備:火災の発生を報知する機械器具又は設備
避難設備:火災が発生した場合において避難するために用いる機械器具又は設備 - 消防用水
防火水槽又はこれに代わる貯水池その他の用水 - 消火活動上必要な施設
排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備及び無線通信補助設備
消防法施行令はこちらでご確認ください。
設置基準
消防設備の設置基準は、消防法施行令第二章によって、建物の用途(別表第一の区分)、延べ面積、階数、地階の有無、窓の有無など様々な条件により定められています。
なお、設置が必要な建物は、先ほどの消防法第17条第一項にて記載があった「消防設備等の設置が必要な建物である防火対象物」は、消防法施行令第6条にて「別表第一に掲げる防火対象物」です。
別表第一に掲げる防火対象物は、総務省消防庁のPDFをご確認ください。
別表第一の防火対象物は、「特定用途の防火対象物(特定防火対象物)」と「非特定用途の防火対象物(非特定防火対象物)」に分けられます。
特定用途、非特定用途については、東京消防庁のPDFをご確認ください。
特定用途の防火対象物は、以下の様な施設です。
- 不特定多数の人が利用する施設
- 知的弱者、身体的弱者等の方が利用、入居する施設
非特定用途の防火対象物は、特定用途の防火対象物以外の防火対象です。
特定用途の防火対象物は、利用者、入居者の生命を保護の観点から、非特定用途よりも厳しい基準が定められています。
なお、特定用途の防火対象物でも
- 避難が困難な介護を要する方がいる施設((6)項ロ)
- 上記施設が含まれる複合用途防火対象物、地下街
は、もう一段厳しい基準が定められています。
また、特定一階段等防火対象物、という防火対象物もあります。
これは、原則二か所以上必要な避難階段が、一か所しかない特定防火対象物のことを言い、避難が困難であることからより厳しい基準が定められています。
維持管理
消防設備は、消防法第17条の3の3にて、定期的に点検し、点検結果を消防庁又は消防署長へ報告しなければならない。と定められています。
点検の周期、内容は、「消防法施行規則の規定に基づき、消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類及び点検内容に応じて行う点検の期間、点検の方法並びに点検の結果についての報告書の様式を定める件(平成16年5月31日消防庁告示第9号)」で定められています。
告示はこちらを、告示に基づく点検基準等はこちらをご参照ください。
関連資格
消防設備に関する国家資格として、消防設備士があります。
消防設備士は、大きく分けて甲種と乙種があり、更に消防設備の種類により類別されます。
- 甲種
対象設備の工事、整備及び点検ができる
特類、第1類~第5類 の計6種類 - 乙種
対象設備の整備及び点検ができる
第1類~第7類 の計7種類
消防設備に関する工事、整備、点検にあたっては、消防設備士の免状を持った方が必要となります。(消防設備の点検については、消防設備点検資格者も実施可能です)
消防設備士取得後は、定期的に講習会を受け、免状を更新する必要があります。
最後に
この記事では、消防設備の概要について解説しました。
目立つことのない消防設備ですが、火災による被害を抑えるために、とても重要な設備です。
関係法令は、過去の惨事を繰り返さないためにも、都度改正されており、複雑です。
今回は概要でしたが、各消火設備の役割・点検内容など、詳細については、今後別の記事にて解説予定ですので、よろしくお願いします。